再生医療とは

1.はじめに
2.再生医療とは
再生医学・医療の目的
 再生医療の進歩
 広がる可能性
3.幹細胞とは
4.工学との融合
5.課題
 再生医学という言葉自体は新しいものですが、事故や病気によって失われた体の細胞、組織、器官の再生や機能の回復を目的とした研究はこれまでも数多く取り組みがなされてきました。医療に再生という考え方がとりいれられてきた歴史は古く、運動学などを生かしたリハビリテーション、義肢や人工関節、人工血管といった人工材料を用いた工学的アプローチ、皮膚移植や骨髄移植、臓器移植といった生きた細胞を使った細胞移植が、これまでの広い意味における再生医療の代表例といえるでしょう。
 再生医療の進歩は患者に新たな恩恵をもたらす一方で、厳しい負担も強いており、その成果を十分に享受できているとはいえません。例えば、臓器障害においては、悪くなった部分をできるだけ早く発見し、投薬や手術などによって進行をとどめるだけであった医療に対して、今では臓器移植という方法で再生医学の研究成果の一端が治療に生かされるようになりました。ただ、移植の現状を見ればわかるように、その普及には多くの問題を抱えています。一つには、移植を待つ患者の数に対する圧倒的なドナー(臓器提供者)不足です。そしてもう一つは、臓器移植を終えた後に拒絶反応を抑えるために投与されなければならない免疫抑制剤の副作用などとの闘いです。
 
  わかりやすい細胞移植の例に輸血があります。一部の例外を除けばABOの血液型さえ一致すれば異なる人の間でも強い拒絶反応を生じることなしに血液のやり取りができることが輸血を身近な医療にしてきました。再生医療の目指すものは、まさに輸血のように他の細胞、組織、器官においても生きた細胞を使って拒絶反応を極力起こさずに移植できるようになることです。
 その可能性を大いに広げたのが1998年11月に米国で発表されたヒトの胚幹細胞(ES細胞=Embryonic Stem Cell)の分離培養技術の確立です(右図)。ES細胞はすべての細胞へと変化することのできる細胞で、どのように特定の細胞へ変化していくかという過程の解明も少しずつ進んでいます。胚幹細胞から思い通りに目指す細胞、組織,器官を作り出すことができるようになれば、再生医療のすそ野は大いに広がってくることでしょう。
拡大
1.分裂段階の胚
2.胚盤胞
3.分離された内部細胞塊
4.ガンマ線照射済みのマウスの胎児線維芽細胞によるフィーダー細胞*
5.細胞の塊を個々に分離した上で培養皿に戻す
6.培養によって作り出された幹細胞
「胚幹細胞の生体外での培養法」
 
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